最新データでわかる訪日外国人観光客の消費動向
観光庁より「インバウンド消費動向調査 2025年1-3月期」の調査結果が発表されました。この調査では、訪日外国人の費目別の旅行消費額や旅行内容(目的、訪日回数、日数など)が把握できるため、インバウンド戦略を立てる上で役立つ情報をたくさん収集できます。
調査結果によると、2025年1-3月期の訪日外国人旅行消費額は2兆2,720億円(2024年同期比28.4%増)で、構成比は一位が宿泊費の33%、次に買物代が29%、飲食費23%、交通費10%と続きます。
今回は構成比が高かった”宿泊費”と“買物代”からトピックを紹介します。
■洋式ホテルの次に人気の宿泊施設はどこ?
日本には洋式ホテルや日本式旅館、中・長期滞在におすすめのゲストハウスや日本生まれのカプセルホテル、ここ数年で急速に増加している民泊など、特徴のある宿泊施設が多数存在しています。
選択肢はたくさんあるものの、訪日外国人が日本滞在中に利用した宿泊施設の構成比を見ると88%もの人が洋式ホテルに宿泊していることが分かります。次は日本式旅館の16%。Airbnbなどの民泊は9%で、その他はわずかとなっています。各々の施設数の違いが結果として表れている可能性もありますが圧倒的に洋式ホテルが人気です。
洋式ホテルの人気は変わらないものの、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、スペイン、米国では民泊の利用がホテルに次いで高くなっています。
民泊と一口に言っても様々な業態があります。許可を得た一般家庭やその敷地内の離れに滞在する形、農家民泊など体験を中心とした形、マンション一棟まるごと民泊で一室ごとにベッドやキッチンが供えられ、まるで住んでいるように生活できる形など、魅力は宿泊費の安さだけではないようです。
家族や親族など大人数での旅行を好むインドネシア人には、節約且つ便利で、日本の日常生活が体験できる民泊が魅力で、アメリカ人は長期間になると畳や布団での生活を避けるため、滞在日数が長い場合には民泊が魅力なのかもしれません。
Airbnbなど民泊サイトをのぞいてみると、口コミもいろんな国から書き込まれていて、なるほどなと思います。
2024年もインドネシア、フィリピン、米国において民泊の構成比がホテルに次いで高かったことから、じわじわとインドネシア、フィリピン、米国での民泊人気が浸透しているようです。2025年はシンガポール、マレーシア、スペインの民泊構成比がどのように推移するか気になるところです。
■お土産の定番にアパレルが参入?
訪日外国人のお土産の定番といえばお菓子です。単価が安くばらまき用としても便利でドラッグストアやスーパーでのまとめ買いの光景はおなじみですね。この傾向は2025年も続いており、中国、台湾、韓国をはじめ、タイやベトナムなど東南アジアの国・地域では買物代のうち、菓子類の購入率が80%前後と非常に高い数値となっています。
一方で米国やフランス、ドイツなど欧米やオーストラリアでは、菓子類の購入率(50%前後)より衣類(60%前後)が買物代の中では一番高い傾向にあります。
2025年1-3月期の訪日外国人旅行消費額で第二位となった台湾では、買物代における菓子類の購入率が81%と非常に人気ですが二位が衣類(55%)となっています。2024年1-3月期では、菓子類、医薬品に次ぐ三位だったことから、台湾での衣類の購入率が上がっていることが分かります。
特に台湾に店舗を持つユニクロをはじめ、手頃な値段とおしゃれ・かわいいを兼ね備えたURBAN RESEARCH(アーバンリサーチ)やcoen(コーエン)、GLOBAL WORK(グローバルワーク)、セレクトショップとして人気のBEAMS(ビームス)など台湾の若者を中心に支持されるアパレルブランドが日本には多数存在しています。
GLOBAL WORK(グローバルワーク)はインバウンド向けにお土産用のTシャツを販売するなど、衣類は菓子類と比べて購入単価が高いため、アパレル業界のインバウンド旅行消費額はますます増えていきそうです。
<関連リンク>
インバウンド消費動向調査 [出典:観光庁]
その他の市場や、詳細については上記観光庁のリンクから報道発表資料をご参照ください。
また本記事で使用しているDiGJAPAN!マーケティングチーム作成のグラフは、資料等に自由にご利用ください。