お電話でのお問い合わせ

03-6745-0044

9:00-17:00/土·日·祝日除く

事例イメージ画像

【トピック】大阪・関西万博2025:インバウンド視点で見えた課題と今後の期待


2025年4月13日に開幕した大阪・関西万博。博覧会協会によると、開幕から5月5日までの累計来場者数は、関係者を含めて2,385,394人、一般来場者は1,994,283人に達したと発表されました。この数字は、国内外からの大きな注目と期待を物語っています。
特に注目されるのが、海外からの旅行者、いわゆるインバウンドの動向です。日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2024年の訪日外客数は過去最高を記録し、2025年もその勢いは持続すると予測されています。大阪・関西万博は、まさにこのインバウンド市場にとって、日本の魅力を世界に発信する絶好の機会と言えるでしょう。


そこで本稿では、万博会場で実際に見られたインバウンド対策の現状と、訪日旅行者がより快適に過ごすためのヒント、そして今後のさらなる発展への期待について考察します。

 

 

進むキャッシュレス化と手荷物預かりサービスの課題

■大阪メトロ中央線夢洲駅 改札:キャッシュレス決済の導入

万博会場への主要アクセスとなる大阪メトロ中央線夢洲駅の改札では、交通系ICカードに加えて、QRコード決済が導入されています。これは、海外からの旅行者にとって、両替の手間や小銭の扱いに困ることなくスムーズに移動できる大きなメリットです。世界的に見てもキャッシュレス決済は主流となっており、この対応は時代の流れに沿ったものと言えるでしょう。

 

■手荷物預かり:周辺駅での推奨と会場の現状

すでに広く報道されている通り、万博会場内へのスーツケースやキャスター付きの大型荷物の持ち込みは原則として禁止されています。そのため、周辺駅である弁天町駅・桜島駅には大型荷物一時預かり所(1,000円/個)が設けられ、利用が推奨されています。
一方、万博会場の東ゲート・西ゲートにも手荷物預かり所がありますが、こちらは1個10,000円と高額で、かつ先着100個限定です。また、会場の東西両ゲート付近にはコインロッカーも設置されていますが、小型サイズで、横幅330mm×奥行500mm×高さ240mm程度。普段使いのリュックサックやトートバックが入る程度で、大型バックパックの預け入れは厳しそうなサイズ感でした。ちなみに、案内看板では「コインロッカー」とありますが、実際にはコインは利用できず、キャッシュレス決済のみの対応となっています。


現状として、このスーツケース持ち込み制限小型コインロッカーの情報が、まだ十分に訪日旅行者に浸透していないようです。実際、駅周辺では大型荷物を持って困惑している旅行者の姿も多く見られました。この点は事前の周知がさらに必要と感じました。

 

 

多言語対応の現状:コミュニケーションの壁と可能性

■パビリオン:日本語・英語対応が中心、多言語対応への工夫も

多くのパビリオンや展示では、アテンドスタッフによる解説が行われており、当日受付のレーンが「日本語」「英語」といった言語別に分けられている国もありました。また、展示解説自体が日本語と英語の両方で行われるパターンも見られました。

さらに、パビリオンスタッフの胸元には、国旗を模ったピンバッチと共に、「日本語」「英語」での案内が可能であることを示す表示が見られました。手荷物預かり所やコインロッカーの案内スタッフも、基本的に日本語または英語での対応が可能である印象を受けました。

 

■アプリ・WEBサイト:スマホは万博観光の必須アイテム

多くのパビリオンが、専用のアプリや、パビリオン内のQRコードからアクセスできる多言語対応のウェブページを用意しています。展示物を見るだけでなく、解説を聞くことでより深く理解できる展示も多いため、スマートフォンは万博をより楽しむための重要なツールと言えます。

SNSなどでは「スマホがないとパビリオンが回れない!」「スマホのポータブル充電器は必携!」といった声も上がっており、訪日旅行者も同様の準備が推奨されます。万博会場内での無料Wi-Fi環境の整備や、充電スポットの拡充も、より快適な観光体験を提供する上で重要と感じました。

 

 

より快適な滞在のために:細やかな配慮と情報発信

■ボランティアスタッフ:温かいおもてなしの心

万博会場内では、多くのボランティアスタッフが活躍しています。道案内や情報提供など、困っている来場者に対して親切に対応する姿は、世界各国に日本の「おもてなし」の心を世界に伝える良い機会となっています。

 

■ゴミ箱の設置:多言語ピクトグラムとサポート

日本のゴミの分別は複雑で分かりにくいと感じる訪日旅行者の声も聞かれます。しかし、大阪・関西万博のゴミ箱には、分かりやすいピクトグラムが表示され、さらにゴミ箱の設置場所にはスタッフが配置され、分別に困る来場者のゴミを預かって分別するなどのサポートが行われています(すべてのゴミ箱にスタッフが配置されているわけではなさそうです)。このような細やかな配慮は、訪日旅行者にとっても日本人旅行者にとってもホスピタリティを感じるポイントかもしれません。

 

■訪日旅行者向け便利グッズ紹介:DiGJAPAN!の記事

万博開幕後の4月17日に、訪日外国人向け観光情報サイト「DiGJAPAN!」の編集担当が実際に万博会場を訪れ、訪日旅行者だけでなく日本人旅行者にとっても役立つアイテムを紹介する記事を公開しています。事前情報の参考にぜひご活用ください。


「DiGJAPAN!」万博に持っていくべきもの12選 https://digjapan.travel/blog/id=12684

 

 

まとめと今後の展望

大阪・関西万博は、最新技術や各国の文化に触れることができる貴重な機会であると同時に、日本のインバウンド対策の最前線を知る上でも重要な場となっています。キャッシュレス決済の導入や多言語対応への努力が見られる一方で、手荷物預かりサービスの課題や情報提供の不足など、改善すべき点も明らかになりました。

会期は2025年10月13日まで続きます。今後、さまざまな課題がひとつずつ改善され、より多くの訪日旅行者が快適に万博を楽しめるようになることを期待します。

 

※上記情報は2025年5月時点の情報で掲載しております。