今後も拡大が予想される台湾のインバウンド市場の攻略には、台湾訪日予備軍に向けたプロモーションを、彼らが旅行計画を立て始める時期に合わせて行うことが重要です。
そこで本題ではGoogleトレンドを利用したキーワード分析から、台湾訪日予備軍の旅行計画を立て始める時期や傾向を見ていきたいと思います。
台湾からの訪日旅行客が日本でやりたいこと
観光庁のインバウンド消費動向調査における訪日旅行に関する意識調査によると、台湾からの訪日旅行客の目的の9割は観光・レジャーとなっています。その中で『今回したこと』の質問では「自然・景勝地観光」は「日本食を食べる」「ショッピング」「繁華街の街歩き」に次ぐ4位で、77%と高い割合で人気がありました。つまり台湾からの訪日旅行客は、日本食やショッピングだけでなく、日本の自然や四季の観光も楽しんでいることがわかります。
『次回したいこと』の質問に対しては、「日本食を食べること」に次いで「自然・景勝地観光」が「ショッピング」と同率で2位となっています。これは今回の訪日旅行で自然・景勝地観光の満足度が高かったためだと推測できます。
台湾は温暖で四季の変化が少ないため、日本の四季を求める観光客が多くなる傾向があります。具体的には、桜や紅葉、冬の雪景色など、日本ならではの自然体験が訪日の理由の一つとして挙げられます。
Googleトレンドでチェックする旅行計画のタイミング
一般的にインバウンドプロモーションは、ターゲット国の休暇等を見据え数ヶ月前から開始されますが、台湾においては何ヶ月前が最適なタイミングなのでしょうか?
まずはキーワードがどれだけ検索されているかを調査できる「Googleトレンド」を使って台湾での2024年年間の日本の四季に関するキーワードボリュームの推移をチェックしてみました。ボリュームは「人気度」という指標で表示され、最も検索ボリュームがあったピークを100、ピーク時の半分の検索ボリュームを50で表しています。
なおGoogleトレンドでの検索条件は以下の設定としました。
・対象エリア:台湾
・期間:2024年
・カテゴリ:旅行
・検索タイプ:ウェブ検索
■桜シーズン
「櫻花(桜)」というキーワードでの検索結果を下のグラフの赤線で表しています。年末頃からじわじわと検索ボリュームが高くなり、2月上旬をピークに1ヶ月ほど検索ボリュームの高い傾向が続きます。その後4月頃から検索ボリュームが下がり始め年末まで低い状態で推移します。次に「櫻花預測(桜 予測)」というキーワードでの検索結果は青線で表しています。こちらも年末頃からじわじわと検索ボリュームが高くなり、2月中旬~下旬にかけて一気に検索ボリュームが増え、3月末まで比較的高い状態で推移します。
■紅葉シーズン
次は「賞楓(紅葉狩り)」というキーワードでの検索結果を下のグラフの赤線で表しています。6月から検索ボリュームが増え始め9月中旬と10月中旬にピークを迎えます。桜と比べて、特定の期間に集中せずに、比較的長い期間にわたって検索ボリュームが維持されるのが特徴です。
次に「楓葉預測(紅葉予測)」というキーワードでの検索結果は青線で表しています。こちらはピンポイントで9月中旬と11月上旬のみに検索ボリュームが高まるグラフ結果となりました。紅葉の色づき情報を旅行直前にチェックしているためだと推測できます。
■スノーシーズン
最後は「賞雪(雪見)」のキーワード検索結果を下のグラフの赤線で表しています。1月末に検索ボリュームが高まる一極集中型で、そのあとは春と秋に1月末のピーク時の半分程度の検索ボリュームが見られました。立山黒部の雪の大谷(毎年4月中旬から6月中旬頃)の検索が含まれているとすると、春の検索ボリュームが該当している可能性が考えられます。
以上にように台湾での日本の四季に関するキーワードボリュームの推移を見ると、桜、紅葉、雪とそれぞれ旅行計画を立てる時期や関心度合も異なることが分かりました。
この結果から、それぞれの時期に合わせたプロモーションのタイミングは、以下が一つの指標になりそうです。
●桜シーズン:検索結果が増え始める年末を見越して11月頃に(上記桜シーズングラフの青丸部分)
●紅葉シーズン:6月末から検索需要がピーク時の半分以上になるため6月頃に(上記紅葉シーズングラフの青丸部分)
●スノーシーズン:キーワード需要が出始める10月頃(上記スノーシーズングラフの青丸部分)
まとめ
台湾訪日予備軍への具体的なプロモーション方法としてはSNS活用やWeb広告、多言語対応などニーズに合わせたコンテンツ提供も検討する必要がありますが、それと日本の四季への興味関心度の高さをリサーチするタイミングに合わせたプロモーションを掛け合わせることでより効果を実感できるはずです。
ぜひGoogleトレンドを活用してみてください。